プレミアムリーグが開催されているところですが、中東各国におけるサッカー観戦にまつわるエピソードを紹介します。

エジプトとレバノン:カフェでの観戦文化と経済

中東の人々はサッカーに熱狂しています。試合の日になると、街のカフェの様子は大きく変わります。

エジプト:需要による価格の変動

エジプトのカイロにある一般向けのカフェでは、ワールドカップの開催期間中、座席数を通常の150席から550席に増やしました。また、紅茶の価格は通常2.5エジプトポンドですが、試合の日には3ポンドに値上げされました。

出典:NewsPointGhana, 2018年7月19日

わずかな値上げであっても、何百人もの客が来店するため、店にとっては大きな利益になります。自宅に有料放送がない人々にとって、カフェはスタジアムの代わりとなる重要な場所です。

レバノン:経済危機と「現実逃避」としてのサッカー

一方、レバノンでは深刻な経済危機が続いています。そのため、自宅で試合を見ることは贅沢な行為になりつつあります。

2022年のワールドカップでは、ベイルート市内のカフェが大型スクリーンを設置しました。店側は「ミニマムチャージ(最低利用料金)」として、1試合あたり20万から40万レバノンポンド(当時のレートで約2〜4米ドル)を設定しました。

出典:AFP via Gulf News, 2022年11月30日/Xinhua, 2022年12月2日

それにもかかわらず、席は連日満席でした。これは、サッカーが一時的に経済的な苦しさを忘れさせてくれる娯楽であることを示しています。

サウジアラビア:歴史的勝利と祝日の制定

2022年11月22日、サウジアラビア代表はアルゼンチン代表と対戦し、2対1で勝利しました。これは歴史的な出来事でした。

試合終了後、SNSには数百万件の祝福メッセージが投稿され、国中が喜びました。翌日、サルマーン国王は国全体の祝日を制定しました。政府機関、民間企業、学校など、すべてが休業となりました。

出典:The Guardian, 2022年11月22日

この祝日は2022年限定の特別な措置でしたが、サウジアラビアがサッカーを国家的な重要イベントと考えていることがわかります。

イラン:女性のスタジアム入場規制と変化

イランでは長い間、女性がサッカースタジアムに入ることが禁止されていました。1979年の革命以降、宗教的なルールによって、男性のみがスタジアムでの観戦を許可されていました。

しかし、2018年のロシアワールドカップの際、特別な許可が出ました。イラン対スペイン戦のパブリックビューイングのために、首都テヘランのアザディ・スタジアムが開放されました。この時、数千人の女性が初めてスタジアムに入りました。参加した女性は「夢が叶った」と語りました。

出典:Reuters, 2018年6月25日

これは一時的な措置でしたが、女性が自由にサッカー観戦できる権利については、現在も議論が続いています。

サッカーを通じた社会との関わり

上記のとおり、ジェンダーの問題、経済状況など、社会のあらゆる側面が反映されています。これらは、単に試合を見るだけでは味わえない、深い文化体験と言えるでしょう。